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2005年05月01日

正しいアニロックス仕様の選択

アニロックスロールを購入する際、い いかげんな仕様で注文してしまうと後々のトラブルの元になります。アニロックスは、単にインキ転移セルの集まりではないのです。まず、アニロックスセルの 特性とその特性によるインキ転移への影響を理解することが必要です。以下に、間違った仕様による不要なトラブルを避けるための情報を記します。

検討要素 セルの特性には主に3つの要素があります。

  1. セルの角度(60°、45°、30°など)
  2. セルのボリューム(または転移容量)
  3. セルの数、線数(1インチ、1センチメートルにつき)

セルの角度

アニロックスセルの角度は一般的に、60°六角形パターン、30°六角形パターン、45°ダイヤモンドパターンの3つがあります。

現在では、1989年に市場に出て以来、60°六角形パターンが標準とされています。

  • 特定の範囲内でより多くのセルを配置できる(15%)
  • レーザー彫刻の際のセルの配置により、ポストエリアをなくすことができる
  • 同じインキリリース量を維持しつつ、セルの深度を浅くすることができる
  • 30°パターンと比較して、回転方向に対してセル壁が直角に向いていないため、セルのチャネリングが防げる
  • メーカーにとって最も再生産が容易であり、したがって品質が一定している

フレキソ印刷以外の分野では45°パターンや30°パターンが求められる場合もあります(コーティング、ラミネーション、特殊印刷など)が、一般的なフレキソ印刷では推奨されません。

アニロックスロールのボリューム

セ ルから転移されるインキの量は、セルの転移容量、またはセルボリュームによって決まります。インキは液体の皮膜として転移します。この際、可能な限り薄い 膜厚で転移させることが非常に重要になります。膜厚が薄いほどインキは制御しやすく、またドットゲインも減り、画像のパフォーマンスも向上します。下の図 に示されるように、インキの膜厚が薄いほうがドットゲインは少ないのです。これは、単純に、刷版上のドットから転移するインキの量が少ないためです。

ここで扱う単位は非常に小さく、1ミクロンの違いも重要です。それでは、1ミクロンとはどれくらいの大きさなのでしょうか。

人間の髪の毛の直径がおよそ70ミクロンです。

前述の通り、60°パターンのアニロックスに切り替えるのであれば、1平方インチあたりのセル数が増えるため、ボリュームを下げることが可能です。ただし、 セルボリュームが低すぎると転移前にインキが乾燥しやすくなります。(乾燥抑止剤が添加されていれば別です。)あくまで、可能な限り薄いインキ皮膜で必要 な色強度を出せるアニロックスの仕様を特定することが目標なのです。経験則として、セルの深度が口径に対して23%-33%であるといいでしょう。

例えば、セルの口径が100ミクロンであれば、セル深度は23ミクロン-33ミクロンであると理想的です。

セルが深すぎる場合のデメリット(33%以上)

  • インキリリースが非効率的になる
  • 洗浄に時間がかかる
  • セル壁が粗くなる
  • 彫刻の均一性を保つことが極めて難しくなる

セルが深すぎる場合の例(深度:口径の比が50%の場合)

セルが浅すぎる場合のデメリット(23%以下の場合)

  • セル表面が粗くなる
  • 彫刻の均一性を保つことが極めて難しくなる

セルが浅すぎる場合の例(深度:口径の比が15%の場合)

深度:口径の比が23%-33%の範囲内であるセルのメリット

  • セルのサイズと形状が均一になる
  • セル表面が滑らかになり、インキリリース性も効率的になる
  • 角度が浅くなりインキリリース性が向上する
  • セル壁が滑らかで薄くなる
  • 彫刻の均一性を保ちやすくなる

理想的なセルの例(深度:口径の比が28%の場合)

ボ リュームの低いアニロックスを使用すると被印刷体に転移するインキの量は少なくなります。これは望ましいことです。ただし、使用しているインキで必要な濃 度を出さなければいけません。ここで、使用しているインキの評価を行わなければいけません。適切な色強度が得られていないのであれば、現在のインキについ て再考するか、あるいはインキサプライヤーに相談して解決手段があるか訊ねるといいでしょう。高顔料インキは市場に出ていますし、またインキメーカーもこ うした需要に応えています。こうした高顔料インキはコストが上がるかもしれませんが、印刷画質の向上により相殺されると考えていいと思います。また、イン キの転移量、取扱い量、排出量が少なくなるため、購入量も少なくなるはずです。また、低ボリュームのアニロックスを使用すると、VOCの排出も削減できま す。つまり、インキ量が下がれば、VOC排出も下がるのです。

線数 3 つめの要素は線数です。線数は、アニロックスボリュームとの関係で選択します。例えば、3.2BCMのアニロックスボリュームにはおよそ500線が必要と なります。3.2BCMのボリュームを1000線で彫刻すると、セルが深くなりすぎてしまいます。反対に、3.2BCMを120線で彫刻すると、セルが浅 くなりすぎてしまいます。インキの色強度が向上して低いボリュームでも十分な濃度が出るようになったことで、今では高い線数のアニロックスが使用できるよ うになりました。高い線数のアニロックスを使用すれば、質の高い画像と細かいグラデーション、罫線、文字、そしてアミ点画像が再現可能になります。下の表 は、印刷の用途とそれに適する線数とボリュームを示したものです。

用途線数ボリューム

  • ベタ180-330lpi8.0-4.0BCM
  • 線および文字200-400lpi7.5-3.5BCM
  • 1色グラデーション360-500lpi4.7-2.8BCM
  • プロセスカラー500-1200lpi3.2-1.0BCM

最適条件出しのためのリサーチ 以上の3要素について理解したら、次にセルパターン、ボリューム、線数の組み合わせでどれが最も自社の用途に適しているか決めなければいけません。これには、バンデッドアニロックスロールを使用したテストがいいでしょう。

バ ンデッドロールには線数とボリュームの組み合わせを複数彫刻することが可能です。このテストは、必要な色強度が出せる範囲で最も薄いインキ皮膜を転写でき る線数とボリュームの組み合わせを決めるのに役立ちます。繰り返しになりますが、アニロックスセルの特性とそのセルがインキ転移に及ぼす影響を知っておく ことが極めて重要になります。基本的には、以下の項目に関する理解が必要です。

  • セルの角度
  • セルの転移量(ボリューム)
  • セルの数(線数)

時間をかけて以上の3要素を理解してください。そうすれば、画像の再現性を向上することができ、同時に時間とコスト、そしてエネルギーの節減を実行できるようになるのです。